約 1,012,603 件
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1418.html
小鳥の囀りとともに床から目覚めるミカヤ。 朝日が窓から入り、すぐに意識が立ち上がる。 右隣の布団を被るルイズはまだ夢の中。 しかし、学生である以上、自分と違い、学業もある。 そろそろ起こそうと思い、ミカヤは一度背伸びをし、ベッドから出る。 優しく右頬を撫でつつ、ルイズの目覚めを促す。 「ルイズ、ルイズ。朝よ。そろそろ起きて。」 「ん・・・、うう~ん。」 身をよじり、ゆっくりと意識が覚醒してゆくルイズ。目を開ければ、そこには『女神』。 「あ、えと、あ・・・。」 今まで朝は自分だけだったためか、動揺するが、昨日のことを思い出し、一人頷く。 そう、彼女は女神。『ゼロ』と呼ばれ続けた自身が、この世界へと招いた自分だけの女神がそこにいる。 ならば、朝目覚め、なすべきことは――― 「おはようございます、ミカヤお姉さま。」 朝の挨拶からである。 「おはよう、ルイズ。」 陽光のような笑みで、ミカヤは応えた。 ファイアーエムブレム外伝 ~双月の女神~ 第一部 『ゼロの夜明け』 第三章 『紅蓮の悪友』 扉を開け、身支度を終えた二人は寮の廊下に出る。 ミカヤは聖杖『マトローナ』を右手に持ち、腰に下げている左右のホルダーは光の魔導書を全て収めている。 ホルダーの頭には杖が一対ずつ。 「ミス・ミカヤ、何も完全装備でなくても。 魔法学院は安全なのよ?」 外では話を聞かれる可能性があるため、努めて『ミス・ミカヤ』と呼んでいる。 魔導書は武器であることはミカヤにすでに教えてもらったため、いぶかしげに訊ねるルイズ。 「ハルケギニアにはテリウスの精霊魔法が存在しないから、この魔導書は今の所複製できないわ。 それに複製もできない上位魔法もあるから、盗人が入り込んだりして盗まれるわけにはいかないの。」 特に上位魔法や最高位の光の精霊との契約を要する最上位魔法の魔導書も手元にあるため、これを盗まれれば 一巻の終わりである。 「それに、使い魔の役割は、主の護衛でしょう? なら、何時でもルイズを守れるようにしておかないとね。」 「う、うん・・・。」 そう返したミカヤに、思わず赤面しつつ頷くルイズ。 使い魔の役割としてあげられるものの一つに、召喚者との感覚の共有があげられる。 視覚、聴覚を共有することで、使い魔を偵察、潜入をさせた際に、見ているもの、聞いているものを召喚者も把握できる というもの。 しかし、人間を召喚したためか、あるいは別の要因があるのか、ルイズはミカヤと感覚を共有できていない。 二つ目は、召喚者の望む物の収集。 秘薬の原料になる薬草や鉱石等をその使い魔の知識、嗅覚で発見、召喚者に提供する。 これも異世界から召喚されたミカヤの知識に該当するものがある可能性は極めて低いため、これも除外。 最後に、最も重要な役割、それは召喚者の護衛。 これはミカヤの持つ魔法と、治療や様々な補助を可能にする杖の力ならば、十分に果たすことが出来る。 (それに、昨日から杖や魔導書に触れていると、使い方から精製 に必要な知識までもが手に取るように分かる・・・。) 恐らくこれは自身に刻まれたルーンの影響と推察する。 だが、このことはまだルイズには話すべきではないと考えたミカヤは、それ以上の思考を棄却した。 ちょうどその時、一人の女学生が別の部屋から出てくる。 紅蓮の炎を思わせるウェーブがかった髪と、艶のある褐色の肌の、成熟した女性と言っても遜色ない少女。 そのプロポーションはあまねく、同年齢の少女には理想ともいえるものだった。 ルイズの同期の学生―――『微熱』の二つ名を持つキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー はこちらを見やると、一度驚いた表情を浮かべるものの、人の悪い笑みを浮かべ、挨拶をする。 「おはよう、ルイズ。」 たちまちに不機嫌な表情になるルイズ。 「おはよう、キュルケ。」 挨拶を返すが、如何にも嫌そうにする。 「貴女も恐れ多いことをしたわね。『サモン・サーヴァント』で『女神様』を呼んで、使い魔にするなんて。」 「うるさいわね。むしろあんたのほうがミス・ミカヤに対して無礼じゃない。」 使い魔は召喚者と一心同体。自分への侮辱はすなわちミカヤへの無礼と同義と考えているルイズは、キュルケを睨みつつ言った。 しかし、ミカヤはキュルケの心を読み、悪意はないことが分かる。 いつも心の中でルイズを気にかけている、素直になれない友人。 そう、苦笑を浮かべつつ納得する。 本人達に告げれば声を合わせて否定されることであろうとも。 「ミス・ミカヤ!貴女までもこの女は侮辱しているのよ! 笑い事じゃないわ!!」 それを見咎めたルイズは顔を真っ赤にし、抗議する。 「ごめんなさい、ルイズ。でも、彼女の言葉からは悪意を感じないわ。 ただ、二人の掛け合いが面白かったから、つい。」 「ミカヤお姉さま!!・・・・あ。」 ミカヤが苦笑混じりに漏らした本音に怒りの臨界点を突破し、テンションが高くなったルイズはつい、 『ミカヤお姉さま』と言ってしまい、気がついて顔をうつむかせた。 選りにも選って一番聞かれたくない相手に聞かれてしまったからだ。 「あっはははははっ!『お姉さま』、て何よ? もしかしてそういう趣味なわけ?貞操観念も『ゼロ』だなんてねぇ?」 案の定、言葉尻を取り、からかうキュルケ。 「ツェルプストーッ!!違うわよ!」 「ルイズ、そのぐらいにしておきなさい。からかいを助長するだけよ。」 顔から蒸気が出かねない勢いで怒りをぶつけるルイズをたしなめるミカヤ。 うう、とうなりつつも、矛を下げる。 「ふふ、そうしていると出来の悪い妹の面倒を見る姉ですわね。」 あくまでからかうようにしつつも、その光景を微笑ましく感じたキュルケ。 ミカヤに諭された手前、怒鳴りはしないものの、睨みつけるルイズ。 「さて、そろそろ自己紹介をしなければ本当に無礼になりますわね。 私はキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。 そちらのミス・ヴァリエールと同期にあたります。 キュルケと呼び捨てで構いませんわ。」 「分かりました。ではキュルケと呼ばせてもらいます。 私はミカヤ。ミス・ヴァリエールの使い魔になります。」 互いに笑顔で自己紹介を済ませると、どちらからともなく握手を求めた。 「では、ミス・ミカヤと。 私の使い魔もお目にかけますわ。フレイム、いらっしゃい。」 キュルケに促され、後ろから紅い鱗に覆われた人よりやや大きな巨躯の、尻尾に炎を宿した、竜と見紛う立派なトカゲが 姿を現す。 ミカヤを見ると、知力が高いのか、フレイムと呼ばれた大トカゲは 恭しく一礼。 「フレイム、あなたにも分かるのね?ミス・ミカヤが敬意を払う べき存在ということ。」 「それってサラマンダー?」 フレイムの頭を撫でるキュルケに、面白くなさそうに質問するルイズ。 「そうよ、この鮮やかで大きい炎の尻尾の火トカゲは間違いなく、 火竜山脈のサラマンダー。 素敵でしょ?私の属性にぴったり。」 「あんた、火属性だもんね。」 後にミカヤも知るが、ハルケギニアでもこれだけ立派なサラマンダーは非常に稀で、召喚者のキュルケの実力が 相当のものであることを証明していた。 それが分かるため、ミカヤの召喚者とはいえ、面白くないルイズは キュルケをふん、と睨む。 「ええ。私の二つ名は『微熱』のキュルケ。ささやかに燃える情熱は微熱。 でも、男の子はそれだけでイチコロなのですわ。」 そう言って区切ると、ミカヤとルイズを見比べて一つ。 「最も、ミス・ミカヤの神聖な魅力には劣るかも知れませんが。 ホント、『ゼロ』のルイズには勿体無いくらい。」 ルイズへの皮肉を挟みつつ、心からそう謙遜しているキュルケに苦笑するミカヤ。 ルイズはその皮肉に怒りが沸騰寸前にまであがり、顔が赤くなっていた。 「ミス・ミカヤ、少し、よろしいですか?」 「何でしょう?」 耳打ちするような姿勢でたずねて来たため、ミカヤは顔をキュルケに近づける。 「・・・・・ミス・ミカヤを召喚できたことは、きっとあの子の心の支えになります。 ルイズのこと、どうかよろしくお願いいたしますわ。」 ルイズには聞かせられない、「悪友」を自認する本音を聞き取られないように言うキュルケ。 「・・・・・分かりました。」 それに微笑をもって応えるミカヤ。 それを確認し、満足の笑みを浮かべるのは一瞬。すぐさま意地の悪い笑みに切り変わり、ミカヤから離れる。 「じゃ、お先に失礼。お・ね・え・さ・ま。」 ルイズとミカヤに皮肉たっぷりに言ってみせ、フレイムを伴い、その場を後にした。 「きぃぃぃぃっ!!なんなのあの女! 火竜山脈のサラマンダー引き当てたからって、偉そうにッ!」 完全に姿が見えなくなると、とたんに怒りを爆発させ、金切り声を上げるルイズ。 「あら、ルイズは私じゃあ不満なの?」 「ち、ちがうの、ミカヤお姉さまッ! 私はただ、あのツェルプストーが・・・!」 しかし、苦笑しながらのミカヤの切り返しに動揺し、わたわたとしてしまう。 「ルイズ、貴女が邪険にするほど、彼女は悪人ではないわ。 恐らく私の目が確かならば、彼女は得がたい友人になるはずよ。」 「・・・・・でも、ツェルプストーは私達ヴァリエール家にとって 天敵以外の何者でもないわ。」 ルイズとキュルケは先祖代々からのいさかいを受け継いでいる。 その血筋故か、ルイズのヴァリエール一族は、隣国ゲルマニアの貴族であるキュルケのツェルプストー一族に妻、ないし夫を 寝取られ、その度に血で血を洗う争いを繰り広げてきた。 ミカヤが言うほどにルイズは割り切れるものではなかった。 それでも、ミカヤは彼女に優しく助言する。 「でも、心には留めておきなさい。 からかいつつも彼女は常に、友人を思いやることが出来ている。 彼女のことをもっと大事にしなさい。」 そうして、桃色のブロンドをすくようにやさしく撫でる。 「・・・・最も、お互い面と向かっては素直にはなれない でしょうけどね。」 そんな言葉を聞き、ルイズは頬を赤くしつつ、そっぽを向く。 「・・・・・それでも、キュルケは私の敵ですわ。」 あえて敬語を使い、拗ねて見せると、歩き出した。 「食堂へ案内します。ついて来て下さい。」 「・・・・・本当に、素直になれないのね。」 後ろを振り返らずに呼ぶルイズに、思わず微笑ましく感じた ミカヤは溜め息混じりにそっとつぶやき、彼女の後に続いた。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4637.html
前ページ誇り高き使い魔 1話「ルイズとベジータ」 学院の中庭。 使い魔召喚の儀式。 順番が最後になるルイズは召喚の呪文に意識を集中する。 (大丈夫よ。上手くやれる。それに……キュルケはわけの分からない平民を呼び出したのよ。ここで私がカッコいいユニコーンとか ペガサスを召喚して一気に差をつけてやるんだから) ルイズはライバルであるキュルケに差をつけるべく、全神経を集中し召喚に備える。 (行くわ!絶対に成功させるんだから!」 意を決し呪文を唱える。 「宇宙の果てのどこかにいる、私の下僕よ!強く、美しく、そして生命力に溢れた使い魔よ!私は心より求め、訴えるわ。 我が導きに応えなさい!」 それと同時に起こる大爆発。 周囲は爆炎に包まれた。 「おいおい。また爆発だぜ」 「やっぱりゼロのルイズだ。使い魔すら召喚してない」 と、周囲の生徒からはルイズを馬鹿にする声が聞こえてくる。 しかし、その煙が風で飛ばされ、煙の中から人影が『二つ』出てくる。 一つはルイズ。 そしてもう一人、ルイズに召喚された男がそこにいた。 「なんだここは?……何があった…………見覚えは………無いか」 男は周囲を見渡しながら独り言を呟く。 そしてルイズはそれを呆然と見つめている。 「これが………私の使い魔」 ルイズは唖然としながら呟く。 しかし先ほどキュルケは渋々ながら平民を契約をしたのだ。 自分だけがやり直しが出来るわけは無い。 「はあ、しょうがないわ。いい。あんたみたいな平民が私に契約してもらえるなんて凄く光栄な事なんだからありがたく 受け取りなさい」 「契約?何をするつもりだ。もしや貴様がここに俺を呼んだのか。貴様一体なんの………」 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、 我の使い魔となせ!」 「ぐっ!?」 ルイズは有無を言わさず一気に契約の口付けを交わす。 男はあまりに自然な行為に呆気にとられ、ありえないほど隙だらけにしてしまいあっさりと契約を交わしてしまった。 「ふう、終わったわね」 「………お、終わっただと!貴様一体何のつもりで俺の……」 「貴様貴様ってうるさいわね。 私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールってちゃんとした名前があるの。 ……そういえば聞くの忘れてたわ。あんた名前は?」 「あんただと!俺はべジータだ。俺をあんたと呼ぶとは中々なめた真似をしてくれる」 「だって使い魔でしょ。まあ、あんたは可哀想だからべジータって名前で呼んであげるわ」 「なんだと、きさ……っ!」 ルイズの態度にベジータは少々イライラするが、不意に右手の甲に痛みが走り手を押さえる。 よく見ると、手には見覚えの無い紋様のようなものが刻まれている。 「ああ、それは使い魔のルーンよ。これがあなたも正式に私の使い魔になれたのよ。感謝しなさい」 「使い魔だと、貴様、俺を舐めるのもいい加減にしろよ!」 ルイズの態度に流石のベジータも怒り、ルイズの真横を気で爆破させる。 それは、ルイズの魔法失敗の爆発と違い、強い威力を誇る爆発だった。 「っ!?」 その爆発にルイズは息を呑んだ。 いきなり起こった爆発に腰を抜かし、小さく震えていた。 「あっ!ちょっとベジータさんじゃないですか!?」 と、そこでようやく他の生徒の人ごみを掻き分けて、一人の男がベジータへと駆け寄る。 「悟飯じゃないか?どうしてここに……」 「多分ベジータさんと同じです。ベジータさんはこの子に召喚されたんでしょ。僕はキュルケって人に召喚されて……」 「そうよ。私がこのゴハンって子の主よ。へえ、あなたがルイズの使い魔。さっきの爆発はあなた?ひょっとしてメイジ?」 「ふざけるな。俺がこいつの使い魔になるわけ無いだろ。大体メイジってなんだ?」 ベジータは先ほどの爆発のショックでへたり込んでいるルイズを無視してキュルケにも背を向けて、歩き出す。 しかしそれを悟飯が止める。 「待ってください、ベジータさん」 「なんだ?お前も来るか。早く帰らないと貴様の方はチチが心配するだろ」 「はい。ですが………ちょっと来てください」 「なんだ?」 「すぐ済みます。キュルケさんも構いませんか」 「ええ、別にいいわよ」 「ありがとうございます。それでは……ベジータさん」 悟飯がベジータを促し、少しキュルケと距離をとる。 そこでゆっくりと悟飯が口を開く。 「それがですね。どうやらかなり遠くの宇宙の星みたいで……」 「宇宙の星?どういうことだ?」 「一応色々聞いたんですけど、まず地球ではありません。ドラゴンボールもセルや魔人ブウの事もミスターサタンの事さえ 誰も知りませんでした」 「なるほど。だが、それなら他の星だけで、遠くの星とは限らないだろ」 「はい、ですけど…………月が二つあるらしく」 「二つ?」 「はい。月が二つ見えるってことは、太陽系以外の可能性もあります。ひょっとすると界王神様の管轄する外の区域の可能性も」 「ちっ、それじゃあ自力では脱出も、助けを呼ぶのも無理なのか」 「はい、それに……どうやらこの星は貴族の方々の身分がとても高いらしいので………しばらくはあの方達のお世話になったほうが 良いと思います。生活は保障してくれるみたいですし」 「つまり俺にあの小娘の使い魔になれというのか」 「………はあ、僕もキュルケさんの使い魔になりますし……無理ですか?」 「…………しょうがない。まあブルマも昔はあれぐらいだったから、不可能ではない。帰るまでの我慢だ」 ベジータも渋々ながら使い魔となる決意をする。 そして二人でルイズとキュルケの元へと帰る。 「あら、もう終わったの?」 「はい、ベジータさんもルイズさんの使い魔になるそうです」 「へえ、そうなんだ」 「ああ」 べじーたがぶっきらぼうに答えると、コルベール先生から号令が掛かる。 「それではこれにて使い魔召喚の儀式を終える。大変遅くなってしまったので、今日は寮に直帰するように」 その言葉と共に、現地解散となり生徒達は空を飛んで、宿舎へと向かう。 「じゃあ行きましょうか」 「はい」 キュルケは空を飛んで、悟飯に手を伸ばすが、悟飯も既に空を飛んでいた。 「それで宿舎って何処ですか?」 「………へえ、ゴハンも空飛べるんだ?」 「えっ!?だって皆飛んでましたよ」 「空飛べるのって、メイジだけよ」 「えっ?……………あっ、ほら練習したんですよ。練習。空ぐらい飛ばないと駄目かなって」 「ふふ、まあいいわ。じゃあ行きましょう。後で色々聞きたいから」 「はっ、はあ」 そして一方、ベジータとルイズ。 「おい、さっさと立て。いつまで放心してるつもりだ」 「えっ、……あっ」 「どうやら寮へ帰るそうだ。さっさと行くぞ」 「えっ、ええ………」 ルイズはそっと立ち上がろうとして、そして止まる。 「っ!?」 「どうした?」 不自然なルイズの動作にベジータは不思議そうに問いかける。 しかし、ルイズは顔を若干赤くしたまま、若干上ずった声で答えた。 「なっ、なんでもないわよ。私は後で行くから先に行きなさい!」 「無理だ。場所が分からない」 「いいから!キュルケたちと同じ場所よ。だから行きなさい!」 「ああ、じゃあ先に行かせてもらう」 ベジータはルイズの変な態度が気になりながらもすぐに悟飯達の居る寮へと空を飛んで向かう。 それを見届けてから、ルイズは辺りに人がいないことを確認して、そっとスカートを捲る。 「うう、やっぱり………貴族ともあろうものがこんな………屈辱だわ」 そうだ。ルイズのショーツは先ほどのベジータの起こした爆発のショックで濡らしてしまっていた。 そしてそれを気付かれる前にルイズはベジータを追い払ったのだ。 「とりあえず………メイドに着替えでも取ってこさせて着替えないと。………はあ、最悪だわ」 ルイズは顔を少し赤らめながら、自らの失敗を恥ずかしく思っていた。 こうして、ルイズとベジータ。キュルケと悟飯の使い魔と主の不思議なお話が始まった。 前ページ誇り高き使い魔
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1465.html
トリステイン魔法学園、春の使い魔召喚の儀式。 二年に進学した生徒たちが「サモン・サーヴァント」の魔法を用いて己の使い魔となる生物を召喚するという、生徒たちにとって非常に重要な儀式である。 既に一人を残して全ての生徒が思い思いの使い魔を召喚し、ある者はその結果に喜び、またある者は嘆いていた。一部、無表情を貫く者もいたが。 そして、最後の一人である桃色の髪の少女が呪文と共に杖を振り下ろした。 一瞬の閃光と共に、広場の中心に大爆発が巻き起こった。 「あーあ、また失敗だ」 「さすがゼロのルイズね。これで何度目?」 「最初のも含めてきっかり10度目さ。全く、早く帰りたいというのに!」 爆発を見た生徒たちは、皆口々に少女への文句を言っている。 少女の名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。 通称ゼロのルイズ。 全ての魔法を「爆発」という形で失敗する、「魔法成功確率ゼロ」のルイズだった。 「………また、失敗なの……?」 彼女は絶望していた。 9回も連続で召喚に失敗し、今度こそはと全力を込めて行ったにもかかわらず、ひときわ大きな爆発が起きただけで、結局失敗してしまったのだ。 だが、 「ま…まて、あれは何だ!?」 「え……?」 爆発の煙で覆われる広場の中心を見ていた生徒の一人が声を上げた。 反射的にルイズが顔を上げると、確かに煙の中にいる巨大な影が目に映った。 「うそ……!」 「馬鹿な、ゼロのルイズが成功しただとッ!?」 「しかも、あんな巨大なゴーレムを!?」 時間の経過と共に、次第に煙が晴れてゆく。 そして煙が晴れきった時、そこには青と赤の体を持つ、鋼の巨人が鎮座していた。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ!」 ルイズは自らが召喚した巨人の姿を見て驚喜し、すぐさま契約を決意した。 後ろで儀式を見守っていた教師コルベールにレビテーションで巨人の頭部の高さまで浮かべて貰い、契約の言葉を唱えつつ、口に当たるであろう部分にそっと口を付ける。 すると、巨人の左腕の甲と両足の裏のあたりが光り出した。 それを見たコルベールの目が驚愕に染まる。 「なんと、使い魔のルーンが三箇所に刻まれているのか!?」 それに何と珍しいルーンだと言いつつ、コルベールはルーンをスケッチしている。 だが足のルーンは装甲の内側に刻まれたらしく、直接見ることは出来なかったようだ。 ルイズは巨人の肩に立ち、しきりに巨人に話しかけていた。 「ねぇ、貴方の名前は何というの?」 「―――」 「私の名前はルイズ。ヴァリエール家が三女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ!ねぇ、貴方の名前は?」 だが、反応はない。 周りの生徒たちの反応も次第に冷めてきている。 それでも話しかけ続けていたルイズは、暫くしてようやく気が付いた。 反応がないのも当然。この巨人の体は朽ち果てていたのだ。 「そ……そんな………」 「なんだ、やっぱりゼロのルイズだ!期待を裏切らない!」 「でかいだけの醜いガラクタ、貴方にお似合いよ!」 ルイズが呼び出した者の正体が分かると、生徒たちは再び悪口を言い始めた。 コルベールは困っていた。 彼の生徒ルイズが呼び出したゴーレムは一向に動く気配を見せない。 ルーンが刻まれたからには彼女の使い魔で間違いないのだろうが、このままでは不憫すぎる。 実際ルイズは今にも泣き出しそうな顔をしている。 「……ミス…ヴァリエールはその場で一端待機。他の生徒諸君は学園へ戻りなさい」 「魔法の使えないゼロのルイズは、後で歩いて帰ってこいよ!」 コルベールの号令で生徒たちは、ルイズを馬鹿にしながらフライを唱えて飛び去っていく。 だが、その場に残る生徒が二人いた。 サラマンダーを召喚したキュルケと、風竜の幼体を召喚したタバサだった。 「ミス・ツェルプストー、ミス・タバサ。貴方達は戻りなさい」 「いいえ、ミスタ・コルベール。もう少し……ここで待ちますわ」 「………」 「そうですか。……わかりました、良いでしょう。私は、とりあえず学園長の指示を仰いできます」 そう言って、コルベールはフライを唱えるために杖を軽く構えた。 巨大なゴーレムの肩の上で、ルイズは涙を堪えていた。 いつもいつもゼロのルイズと馬鹿にされ続け、初めて魔法が成功したと思ったら呼び出した使い魔は巨大なガラクタだったのだ。 巨大なゴーレムを召喚したのだと有頂天になっていた自分が馬鹿らしい。 使い魔はメイジの実力を現す。つまり、自分は結局ゼロだったのだ。 「ねぇ……動いてよ」 それでも、それでもまだ僅かな可能性にすがりつく。 この使い魔はまだ眠っているだけだと、眠っているから声が届いていないだけなのだと。 そんな自分の有様に、ルイズの目の涙が溢れ出す。 それでも、すがらずにはいられなかった。 「動いてよ……起きて、動いてったら………!」 ルイズの目からこぼれ落ちた涙のしずくが、朽ちた装甲に落ちる。 その時、異変が起こった。 「……ぇ?」 涙の落ちた場所から、山吹色の凄まじい光が溢れ出したのだ。 「何よ……あれ……」 「何が起こっているのだ……?」 「………!」 その光は、下にいた三人にもはっきりと確認できた。コルベールは杖を構えた姿勢のまま、キュルケとタバサと共に見入っている。 だが、四人が驚く間にも光は溢れ続け、瞬く間にゴーレムの体を覆ってゆく。 「「「「……なッ!!?」」」」 四人の目が驚愕に染まる。 ゴーレムの光に覆われた箇所が再生しているのだ。 屑鉄と化していた装甲が、磨きたての鋼のような光沢を取り戻してゆく。 「え……えっ、?ちょっ、ぇ…きゃ、きゃああッ!!」 「ルイズッ!?」 「レビテーション……!」 突然の事態に取り乱したルイズが、足を滑らせて落下した。 タバサが瞬時にレビテーションをかけ、救出する。 レビテーションによって宙に浮いたルイズが地面に付いた時には、ゴーレムの体は全身が山吹色の謎の光に包まれ、そして完全に再生していた。 「…………、」 ゴーレムの頭部の目に当たる部分に光が灯る。 そして、ゆっくりと立ち上がると、力強い雄叫びを上げた。 「おおおおおおああああああアアアアアアァァァァァァァァァッ!!!」 Prologue[次元を越えて]完 Next[その名は超竜神]に、シンメトリカルドッキング承認! これが勝利の鍵だ![シエスタ] To be continued...
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/411.html
やっと、やっと出来た。これで、使い魔がわたしの元に……! ルイズの胸は高鳴っていた。 何度も何度も爆発を起こしては、皆に笑われていた『サモン・サーヴァント』。 最後の正直とばかりに魔力をつぎ込んだが、どうやらそれが功を奏したらしい。 魔術反応に空間が揺らめき、弾け――何かを、この世界に召喚した。 「何よ、これ……」 そこに突き刺さっていたのは、一本の杖だった。銀の飾りと大きな宝石が静かに輝いている。 ルイズはおずおずと歩み寄ると、その杖を引き抜いた。バランスを崩しかけ、ふらつく。銀飾りがちゃりりと鳴った。 「……………………」 「……………………」 さわやかな春風が、吹き抜けた。が。 「おーいゼロのルイズ! せめて生き物呼び出せよ!」 その罵声は沈黙を破ったばかりか、他の罵声を呼び出した。 「無機物呼び出してどうすんだよ」 「まさかインテイジェンスロッドとかー?」 「どこに口があるんだよ!」 ざわつく心ない声に、ルイズの顔がかあっと赤くなった。 「う、うるさいうるさいッ! こんな杖なんか……!」 今は杖の重さすら感じなかった。この喧しい声が止まるなら、腕など安い代償だった。 ゆっくりとルイズは杖を振り上げ、 「こんな杖なんかーッ!」 重力に任せ、振り下ろそうとした。 しかし、その刹那。 『何故ですか! アーロン様!!』 唐突に、奇妙な響きを持った男の声が、辺りに響いた。 男というより、声変わりしたばかりの少年のような若々しい声だった。 皆驚いて顔を見合わせ、今の声の主を探した。 そしてそれがルイズの持っている杖だと気付くと、大きく目を見開いた。 「なっ、によ、コレぇ……!」 杖は宝石から光を放ちながら、ルイズの手の中で震えている。 ともすれば自分の手から落ちそうなそれを、ルイズは必死に掴んだ。がちがちと銀飾りが激しく音を立てる。 遂に宝石から青白い稲妻が走り、生徒たちの目を焼きながら地に落ちた。 ルイズは反動で尻餅をつくという醜態を曝したが、それを恥ずかしく思う暇などなかった。 落ちた稲妻は何かのシルエットを象り、やがて薄れて消えた。 後には、不思議な生き物だけがひざまずいていた。 漸く視力が戻った生徒たちは、思わずその手に小さな杖を構え、生き物に近づいた。 狐の獣人だろうか。青と黄色の身体をしている。 黒い覆面をしたような頭には、雨粒の形をした房が4つ生えていた。 ルイズも何とか衝撃から立ち直り、獣人に近づこうとした。 が、しかし。ふいに獣人は頭を上げると、その房をピンと立て高速で振動させ始めた。 そして体を起こし、未だ自体が飲み込めないルイズに、ゆっくりと近づく。 『何故……城を捨てたのですか! 一体何故……何故なんです!』 どうやら先ほどの声の主は、この獣人らしい。 だが悠長に分析ができる人間など、この場には一握りもいなかった。 『アーロン様、一体……何故』 一番困ったのは、当然ながらこの獣人を呼び出したルイズだった。 先ほどから言っているアーロンなる人物が何者なのか、まったく見当がつかない。 何より目を閉じているのだ。何故自分とその人間を間違えているのだろう。 「あの、あんた……何か人違いしてない?」 ようやくルイズがそう言うと、獣人は喉の奥でブルルと唸った。 そして、辛そうに瞼を開いた。赤い目が、ルイズを射抜くように見つめた。 だがその目線も、すぐに戸惑うものへと変わった。 不安げに尾を垂らし、辺りをぐるりと見回す。 自分に突き刺さる視線にぶるりと身体を震わせると、獣人は軽い身のこなしでそこから跳ねるように走り去った。 「…………あれ?」 「え? 今の使い魔……」 「逃げた?」 「使い魔が?」 「召喚した使い魔が、逃げた?」 「ゼロのルイズが召喚した……」 つぶやきは、再び洪水となってルイズの鼓膜を破ろうとした。 「ミスタ・コルベールッ!!」 洪水が嘲笑に変わる前に、ルイズはそれを自分の怒鳴り声でかき消した。 「何だい? ミス・ヴァリエール」 「あの、もう一度! もう一度召喚させてください!! お願いします!」 嘲笑を消す声も嘆願も、コルベールはもとより、使い魔召喚の儀式を曲げることはなかった。 「残念ながら駄目だ。使い魔召喚が神聖な儀式であることは、君も知っている筈だ。一度呼び出した使い魔は、それから一生涯のパートナーになるということも」 ――やはり、駄目なのか。ぎりりとルイズは唇を噛んだ。 切れる限界まで唇を噛み締めると、きっとコルベールに向かい合い、 「……わかりました。連れ戻してきます」 不本意ながら、そう言った。 見つけることは、思ったよりも簡単だった。 獣人は学院内の広場で、空を仰ぎ、呆然と立ち尽くしていた。 不安そうに尾と耳を垂らし、心ここにあらずといった姿で。 怒鳴りつけてでも首輪を着けてでも連れ戻そうと思ったが、こうショックを受けていると…… ルイズは彼に、そっと近づいた。 気づいたのだろう、驚いたような声を上げ、彼は振り返った。 どうやら、この獣の唸り声のような声のほうが地声らしい。 ルイズが口を開く前に、彼は苦しげにつぶやいた。 『戦争は……戦争は、どうなったんだ?』 『ロータは、オルドラン城は……リーン様はどうなってしまわれたんだ!?』 『……アーロン様は……ッ!!』 それだけ、だった。 彼はそれきり黙ると、座り込んでしまった。 結局ルイズが引きずる形で彼を連れて行ったが、既に誰も残っていなかった。 あとには、ショックに打ちひしがれたルイズと彼だけが残された。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1668.html
蒼いドールと翠のドールが深い闇へと落ちていく。 その先には、突然現れた光る鏡のようなもの。 鏡の中の鏡。それに蒼いドールは飲み込まれていく。 ゼロの使い魔~緑と蒼の使い魔~ [第一章 ゼロの使い魔] 第一話 召喚 その日、ルイズは召喚の儀を行い、毎度お馴染みの爆発が起こった。 爆発したのでルイズは失敗したのだと思い即座にもう一度行う。他の誰にも気付かれないように素早くもう一度。そしてもう一度爆発する。 こうなると周りの生徒達は、ルイズが失敗したと確信し、誰だってそうするようにからかっていた。 …しかし、煙の中には人影みたいなものがあったのだ。 ルイズは喜んで煙の中に駆け込んでいった。 「やった!成功したわ!」 生徒達は各々ざわめきだす。 「ば、馬鹿なッ!ルイズが成功した。そんなはずはッ!」「落ち着け。メイジはうろたえなィィィィ!!」「素数を数えて落ち着くんだ。」 ルイズが魔法を成功させるということは、普段失敗を目の当たりにしている生徒達にとって、とてつもない衝撃なのである。 そんな生徒達を無視し、ルイズは己が召喚したものに近づき呪文を唱える。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ……」 と。 そして接吻をしようとした。 だが、よく見ると二体いるのだ。もちろん召喚されたものが。 一方、召喚された蒼いドール、ショートカットでいやらしい帽子を被っているボーイッシュ、つまるところは蒼星石である…は、召喚された際に通常の状態に戻っていたのである。 ローザミスティカは失っているのに動いている。ルイズに召喚されるにあたっての効能であろうか。まさにファンタジーやメルヘンの世界なのだ。 そして煙の中で、自分が抱きついている緑色がぼんやりと見える。 此処が異世界であると気付いてはいないのだが、緑色、翠星石が一緒であると言うことに、正常に戻った蒼星石はギュッと強く抱きなおす。 (なんだか硬いなぁ…。) そう思い、よく見てみると大きい。男性一人分の大きさだ。しかも何だか飛蝗みたいだ。 蒼星石は驚いて離れようとするが、石に躓いて尻餅をついてしまう。 「あの…抱きついたりして、ごめんなさい。」 少しばかり恥じながら、申し訳なさそうに蒼星石は謝った。 ルイズはその光景を見ていた。 口付けをしようとしたら、二体いたのだ。暫し戸惑っていると蒼色の方が飛びのいて、尻餅をつき、謝っている。 蒼いほうはどう見ても小さい子である。しかし、緑色のほうは何だか強そうな亜人だ。 ルイズは心の中でガッツポーズをした。 その頃には煙も晴れて、無事成功したかと心配して、コルベールがやってきた。 コルベールは二体召喚されたという前例のない事態に驚き、とりあえず両方とも契約させるべきかな…と思い、ルイズに契約を二体ともするように促した。 言われたことに従ってルイズは契約を済ませようとする。 まずは練習がてらに蒼い小さい方に口付けをした。蒼い方は何だか戸惑っているようだった。 (こっちはあんまり役にたたなそうね。身の回りの世話でもやってもらおうかしら。) 「あぁぁぁぁ…あうぅぅ…うぅぅ…」 蒼いほうがルーンを刻まれるにあたって起こる熱に、悲鳴をあげていた。勿論我慢しようと心がけているのだが。 次は緑色の亜人だ。蒼星石を相手にせず、ルイズは緑色に近づく。その緑色と契約するのが楽しみで、蒼星石はアウトオブ眼中である。 ここで少しばかり時間は前後する。 緑色の亜人、ご存知我らの矢車の兄貴は、影山の亡骸と供に白夜の世界に向かおうとしていた。 その途中、目の前に謎の鏡のようなものが現れる。 ワームの類かと思い、矢車はゼクターを装着し、変身する。 …CHANGE KICK HOPPER!! 電子音が響く。白夜の世界に向かうのを邪魔するヤツは倒す。 その勢いで蹴りを繰り出すキックホッパー。しかし輝きに飲み込まれてしまった。 そして辿りついたこの世界。気付いたら小さい子に抱きつかれてて、そんでもって謝られる。 次にピンク髪の女の子が小さい子に急にキスをするという光景に。そこで害はないと思ったのか、変身を解く。 驚いたのはルイズだった。さっきまで緑色の亜人だったのが、黒いロングコートを着たただの平民に変わってしまったからだ。 暫し考え、きっと風の先住魔法か何かだろうと思い、ルイズは更に喜び、最高にハイってヤツになる。 そうしてその流れに乗ったまま接吻をする。ルイズはルンルンである。 (さっきは子供、今度は亜人だからファースト・キスにはカウントされないわ!) ズキュゥゥゥゥゥゥン!! (遂にやったわよ!本当に凄い当たりくじ、これで少しは見返してやれるわ。) 当然ルーンが刻まれることによって起きる熱に苦しむ。 「それはルーンが刻まれているだけよ。すぐに終わるわ。」 蒼星石のときにはかけなかった言葉をかける。 痛みが納まり、ルイズのほうを一体何なんだと見る矢車。それに対してなんともないという風に見返して尋ねる。 「あなたの名前は?」 矢車は流れがよくわからなく、面倒だったがとりあえず答えておいた。これぞルーンの洗脳効果である! 「………矢車、矢車想だ。…どうせ俺なんて……。」 to be continued…
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/6544.html
ルイズが召喚したのは氷のような水色髪の剣士の青年だった。 冷静沈着といった面持ちであったが、意外に熱血な一面があった。 召喚後、最初の授業。 ミス・シュヴルーズはルイズの使い魔である青年を見てこう言った。 「ミス・ヴァリエールは変わった使い魔を召喚したのですね」 彼女の言葉に教室が笑いの渦に包まれ、まるで風のようなガラガラ声の一人の男子生徒が笑いながらルイズを馬鹿にした。 「召喚が成功しなかったからって、そこら辺を歩いてた平民を連れてくるなよ! ゼロのルイズ!」 「ちゃんと召喚は成功したわよ! 風邪っ引きのマルコリヌ!」 「僕は風邪っ引きじゃない!」 「いいえ、そんなガラガラ声、誰が聞いても風邪っ引きよ!」 「ふん、魔法が使えないだなんて、君は貴族じゃなくて平民だな! 平民同士で仲良くやればいい!」 「止めろ」 ルイズとマルコリヌの口喧嘩を、青年が諫めた。 「貴族でも平民でも関係ない、俺達は同じ『ヒト』だ。喧嘩することじゃない。 ……姿形は違っていても、クレアはクレアなんだ……なのに俺は……俺は……!」 「ちょ、ちょっとあんた?」 教室が冷気に包まれ始めた。 「クレアアアアアアアアアアアア!!!!」 青年の絶叫と共に、彼の『氷のフォルス』が暴走し、教室は氷漬けとなった。 学園内の火のメイジ達が全ての氷を解かすのに、しばらく時間が掛かったと言われている。 テイルズオブリバースよりヴェイグ・リュングベルを召喚。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/7391.html
かつて、ゼロのルイズと呼ばれた少女がいた。 短期で気難しく激発しやすい感情を持て余した、しかし誇り高く家族や周囲の人間の幸せを願える優しい少女が。 だけど、その少女はもういない。いるのは、始祖ブリミルをも超えたと謳われる伝説の魔法の使い手であり、そんな自分を嫌悪するルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールというメイジである。 始まりは、春の使い魔召喚の儀式。 魔法の成功率ゼロのルイズという不名誉な呼び名を持つ少女は、このときに初めて魔法を成功させた。 召喚されたのは、今までに誰も見たことのない姿をした幻獣。 その長大な全長に比べれば細くみえる長く伸びた蛇体に、巨体に比べれば小さい鷲の爪を生やし、頭部には鹿に似た角を生やした不思議な幻獣。 神々しさすら感じるその幻獣は、召喚者であるルイズにこう言った。 「さあ、願いを言え。どんな願いでも一つだけ叶えてやろう」 何を言っているのだろう? ルイズは、そう思う。 彼女の目的は使い魔の召喚と契約であり、召喚を成功させたのなら、次は契約以外の目的などありはしない。 だから、そう言おうとしたのだ。 だけど、ルイズの口からこぼれ出たのは別の言葉だった。 「わたしを、魔法を使えるようにしなさい」 それは、少女が物心ついた頃から、常に願って止まなかった願望。 そのためなら、何を代わりに差し出しても悔いはないと思えるほどに渇望していたもの。 そんな彼女の願いに、幻獣は頷きを返す。そして幻獣が何かをした後でルイズの肉体が薄く発光した。 「願いは叶えてやった。では、さらばだ」 それでルイズと幻獣の出会いはおしまい。その後、何度召喚の呪文を唱えても幻獣が少女の前に現れることはなかった。 そのことで、ルイズを使い魔に逃げられたのだと嘲る者もいたが、そんな声はすぐに消える。 なぜなら、その日からルイズは魔法を成功させるようになったから。 どの系統に目覚めたのかと問うのは、無意味なことである。 魔法の成功率ゼロの彼女が目覚めたのは、全ての系統。水も土も火も風も、虚無ですら自在に操るようになっていたのだから。 もっとも、周りの者はもちろん、彼女自身もすぐにはそのことに気付かなかった。 使い魔召喚の翌日に起こった決闘騒ぎが、少女に自分の力を自覚させる。 決闘相手のドットメイジの少年が作り出した青銅の等身大女戦士のゴーレムを、ルイズはファイアー・ボールの一撃で吹き飛ばし、少年が次いで生み出した六体のゴーレムを、更に唱えたカッター・トルネードの魔法であっさりと消し飛ばしたのだ。 ファイアー・ボールは、ゼロと呼ばれていた少女には不可能な魔法であるし、カッター・トルネードに至っては、スクウェアスペルである。それを使いこなす彼女を、もはや誰もゼロとは呼べまい。 そして、少女は自身の実力に見合った活躍を繰り広げる。 土くれのフーケと呼ばれる盗賊の魔法で生まれた30メイルの土ゴーレムには、同じ大きさの鉄ゴーレムを作り対抗し学院の宝物庫を守り抜き。 王女の命でアルビオンに旅立ったときには、旅を共にした三人の学院生徒や婚約者の手助けもあってだが、 失われし虚無の魔法の数々をもってしてレコン・キスタを名乗るアルビオンの貴族派を追い払い余命のないはずのウェールズ皇太子の命を救いさえした。 その際、ルイズの婚約者たるワルド子爵が、何かに失敗したような苦い顔をしていたが、そこはどうでもいい。 四系統と虚無すら使いこなすメイジである彼女を、多くの者はブリミルの再来と呼び称えた。 この瞬間が、自分にとっての絶頂であったのだとルイズは思う。 その後の人生は、彼女にとって楽しいものではなくなっていく。 ルイズが生まれた公爵家は、トリステイン王家に仕える血筋である。 しかし、少女に目覚めた虚無の力は、それを許さないものであったのだ。 そもそも、トリステイン王国は始祖ブリミルの虚無の魔法を操る血筋を持って権威とする国である。 そこに、王家の血の連なりにあるとはいえ、王族でない者に始祖から伝えられた虚無が発現してしまえば、それは王家を脅かしてしまう。 彼女の存在は、本人の意思とは関係なく王家と公爵家に反目をさせあう結果となるのだ。 しかし、ルイズ自身にも、彼女の父たるヴァリエール公爵にも、王家を簒奪しようとする意志はない。 だが、先代の王亡き後、王妃マリアンヌが王位を継ぐことを拒否し続けた結果、この国は長い王不在の時を鳥の骨と呼ばれ嫌われている枢機卿マザリーニによって取り仕切られ、そのことに多くの貴族が不満を持っていたのである。 結果として、虚無の血を伝えたヴァリエール公爵家に王位を移せという動きと、それをさせまいという考えを持つ者の間で、トリステイン王国は割れた。 ルイズは、自分が尊敬する姫様と、お互いに望みもしないのに敵対しなければならくなかったのである。 そんなルイズが魔法学院に通い続けられるはずもなく、実家に帰った彼女は懐かしい人たちに会う。 それは、父であり、母であり、姉たちである。 ルイズが、誰よりも大切に思う下の姉のカトレアは、今も変わらず妹を大切に思ってくれていて、ささくれた心を解きほぐしてくれて泣きたくなるほどに嬉しかったのだけれど。 その姉が、会話の途中で咳き込んだ時に、ルイズは浮かれていた自分を恥じた。 そう。自分が虚無に目覚めようが、他の全ての系統の魔法を使いこなそうが変わらないものがある。 今の自分にも、救えない人間がいる。 誰よりも大切に思う人間だけを、自分は救えない。 それだけではない。 ルイズの虚無のことが知れてから、国内の多くの貴族がカトレアに婚姻を申し込んできた。 今までは、体が弱くヴァリエールの名も持たないカトレアに婚姻を申し込む貴族は皆無と言っても良かった。 だけど、虚無の血を伝え、王家に手の届いた公爵家の娘との婚姻は国の貴族たちには大きな意味を持つ。 別に死なれても繋がりを持った後なら構わない。そんな、浅ましい思考がそうさせたのだ。 本当なら、虚無の担い手本人であるルイズにも申し込むべきなのだろうし、実際にそうした貴族もいたのだが、彼女には婚約者がいて、公爵はそれを理由に全てを断った。 だけど、カトレアの方への申し込みは、そうはいかない。 誰にも引き取ってもらえない、死にぞこないの娘を引き受けてやるのだから、感謝してもらっても構わない。 そんな事を本気で思っている貴族を納得させるのは簡単ではないのだから。 大切な姉を、自分の存在が苦しめる現状を歓迎できるような性根はルイズにはない。 それに、ふとしたことで思うのだ。 自分の力は、本来の自分のものではない。使い魔召喚のときに現れた幻獣に貰ったものにすぎないのではないかと。 そして、こうも思う。 なぜ、あの時自分は姉の体の治療を願わなかったのかと。 ルイズの想像が正しければ、そう願っていたなら今の自分の栄光はなかっただろう。 だけど、大好きな姉は救えていたのだ。 なのに、それをしなかった自分をルイズは嫌悪する。 姉の命よりも自身の欲望を優先した自分を、潔癖な少女は許せない。だから、ルイズは己の浅ましさに絶望し続けるのだ。 小ネタでドラゴンボールからシェンロン召喚
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5950.html
前ページ次ページ絶望の使い魔 ルイズが外出許可を取って学院を出た。 その報告を受けたオールド・オスマンはすぐにルイズの使い魔のいる医務室に向かった。 医務室にいた水系統のメイジに席をはずしてもらい一人だけで残る。 ベッドには巨大な亜人の姿がある。杖を取り出しながらゆっくりと顔に近づいた。 顔に手を近づけるとたちまち亜人が黒い靄に覆われる。直接手で触れるのは危ないかも知れない。 そこで使い魔の目蓋を杖で軽く押し上げ瞳孔の様子を観察する。 どうやらしっかりと眠っているようだ。杖を離し、使い魔の上に小さな火の玉を作り出す。 その火をゆっくりと黒い靄に包まれた亜人に降ろした。 黒い靄に当たった瞬間火の玉は掻き消えてしまう。風が吹いているわけでもなく、 水が掛けられているわけでもないし、もちろん土による窒息消化を行っているようにも見えない。 さらに大きく作った火の玉を同じように亜人に下げていく。 前回の小さいときと同様触れた瞬間にすべてが掻き消えた。 精神力を多く使った火の玉でも消え方は同じであったことから込められた精神力を 吸い取っているわけではなさそうだ。 こちらの魔法の術式に無理やり割り込んでくればこのような現象が起こるかもしれない。 魔法を無効化する。エルフの魔法にも似たようなものがあったことを思い出す。 しかしあれはこちらが使役している精霊に干渉しているのだ。だから土地の精霊と契約を結ぶ必要がある。 オスマンはこの黒い靄は人の使う魔法の術式を壊してくる全く未知の先住魔法であると結論付けた。 術式破壊、これはとんでもなく恐ろしい。なにしろ魔法が効く効かない以前に全く届かないということだ。 しかしそれとともに対策もすでにオスマンの中に出来ていた。 術式が破壊されるなら破壊されないように作ればよい。 つまりは魔法陣など実際に地面に術式を描くことで干渉できないようにすればよいのだ。 ただ、間違いなく一撃で葬り去るためにも大規模な魔法陣を使った魔法を行使しなければならない。 その準備のためにも、やはりルイズには国外に出てもらう必要があるだろう。 使い魔に視線を向けながらこれからやらなくてはならない事を思い浮かべるとため息が出てくる。 オスマンは医務室を出た後、その足で大規模破壊の魔法を探すために図書館のほうに向かって行った。 ______________________ ルイズは恐ろしい壁にぶつかっていた。 使い魔を召喚して以来の最大のピンチにルイズは意気消沈し、ベッドの上で無気力に横たわっている。 前回の誘拐未遂からすでに1週間が経過している。 オークと別れてから現在地がわからず迷子になるかと思われたが自分が空を飛べることを思い出し、 すぐに上空から村を発見。そこで道を聞きなんとか夕暮れには学院に戻れたのであった。 虚無の曜日には頼んでいた制服を取りに行った。そのついでに諜報組織へ新生しようとしている旧血管針団の様子を報告してもらい、さらに例の巨大なオークから魔道書を貸してもらうことも出来た。 組織は意外と順調に人が集まっているようですでにアルビオンに何人か向かっていると返事が来る。 むしろヴァリエール家が後ろに付くならばと抜けていた者たちまで帰ってくるということまで起こっているようだ。一応人員はしっかり選別して無駄を無くすようにと厳命しておいた。 魔道書の方には挿絵としてたくさんの魔法陣が載っており、それの中にはルイズが調べようと紙に描いておいたものと同じものもあり、間違いなくこれからのルイズの展望を明るくするものであった。 しかしどんなことにも落とし穴というものは存在する。 ルイズはベッドに転がりながら魔道書のページを穴が空くほど睨みながら叫んだ。 「なんで読めないのよ!!!ふざけるんじゃない!!どこの文字よこれ!!」 そうルイズには魔道書の文字が読めなかったのだ。 もちろんルイズもその言語を調べるために学院の図書館に缶詰になり、文字について調べまわった。 ちょうど図書館にいたタバサまで巻き込みこの3日間ほどがんばったのだ。 しかし全く未知の文字であるらしくどうしようもないという結論に達してしまう。 そもそも始祖ブリミルが降臨して以来、大きく文字が変わることはなかったのだ。 もちろん少しずつ変化はしていったが別の文字を使うのはほぼないと言える。 知性のある亜人などが使う文字もあるにはあるがそのいずれにも該当しなかった。 もしこの魔道書を読みたいのなら一から翻訳していかなければならず、そのような技術はルイズにはない。 早く翻訳したいならアカデミーにでも持って行くべきだろうが、 それでも完成がいつになるのか検討もつけられない上に、 他の者にこれを訳してもらうことはこの先住魔法についての情報が漏れるという問題が発生する。 杖を使わない魔法についての情報は一番取り扱いに注意しなければならない。 よってルイズは不貞腐れていた。 手に入った魔法の詳細が書かれてあるだろうと思われる本が読めず何の役にも立たないのだ。 期待が大きかった分その失望は計り知れない。 その様子を見ていられなかったのかデルフリンガーが声をかける。 「娘っこよぉ。そう悲観するこたぁねぇよ。魔法なんざ二の次でいいじゃねぇか。 それより俺を振って剣技を磨こうぜ。 あのオークに付き合ってもらえば絶対に強くなれるぜ。 あいつの獲物は槍だが剣もそれなりに使えると思うしよ」 ・・・強くなる・・・ その言葉にルイズは反応するがやはり鈍い。ベッドから降りるとデルフリンガーを担ぎ上げぶつぶつと言葉をこぼし始める。 「魔法が二の次ですって?あんたふざけてんの?私は十七年間我慢してやっと魔法を手に入れたのよ。 それをさらに向上させることができるならなんだってやるわ。 私がこんな絶望を抱くはめになるなんて・・・これは使い魔の栄養になったかしら? でも不快な気分になったのはあのオークが悪いのよね。 こんな読めないものを持ってきてぬか喜びさせるとは万死に価するわ。 私刑よ。今から殺しに行きましょう。うん、そうしましょう。きっと楽しいわ」 途中までデルフに対して言っていたが、途中からニヤニヤ笑いだし、自分の世界に入ってしまう。 そんなルイズにデルフもあまり喋りかけたくはなかったが、 ここは冷静な判断のできる自分がしっかりせねばなるまい。 「落ち着けって。あのオークは強いぞ。それこそ嬢ちゃんでも勝てるかどうかわかんねぇ。 あとよその本はオークが持ってきたんだろ?じゃあオークは読めるんじゃないのか? 直接きけばいいじゃねぇか。話せなくとも身振りとかで判断できることもあるだろ」 ルイズは目を丸くさせてデルフリンガーを見る。 デルフリンガーを床に置いてから一度目をつぶり顔を天井に向け、思案するかのように腕組みをする。 そのまま首を捻ったりしながら10分ほど同じ姿勢で固まっていたが唐突にデルフリンガーを蹴り始めた。 「そう!いう!こ!と!は!早く言いなさい!無駄な時間使っちゃったじゃないの!!」 「ちょ、これは理不尽だろ!あっー!・・・やめて!・・・だめぇ!折れちゃうううう」 そのことに思い至らなかった恥ずかしさも手伝い、 闇の衣を全開にしたルイズは力の限りデルフリンガーに暴行を加えている間、 頭の片隅で魔法のついでに剣の修練もできるかもしれないと考えていた。 折られそうなくらい力を入れられたデルフはもう下手なことを言わないことを心に誓ったとかなんとか。 その日からルイズは授業をさぼり学院からよく外に出るようになった。 まじめな生徒だったルイズの素行の悪化を嘆く教師もいたが、筆記は問題なく成績がいいことと、 魔法が使えない上にせっかく引き当てた強力な使い魔もいまだ眠ったままという境遇のルイズには 同情が集まったことで大きな問題にはならなかった。 前ページ次ページ絶望の使い魔
https://w.atwiki.jp/398san/pages/550.html
《召喚八雲式》 通常魔法 自分のフィールド上モンスターを1体生け贄に捧げる。 生け贄に捧げたモンスターのレベル+2以下のレベルの「式神」と名のついたモンスター1体をデッキから特殊召喚する。 咲夜さんCGI2期で登場した式神サポートカード。 式神のキーカードの一つである。 生け贄モンスターに制約がなく、デッキから状況に応じて式神を特殊召喚できる。 やはり筆頭候補は【式神】の切り札たる《式神・八雲藍》だろうか。 召喚が比較的容易な《式神・シキオウジ》あたりを使えばコストも最小限で済む。 他にも《銀の式神-右京》から同じ光属性の《魔鏡の式神-那由多》を特殊召喚する、 《式神・八雲藍》が場に存在する状況で《式神・橙》を呼び出すなど利用法は多岐にわたる。 また、《洗脳-ブレインコントロール》等コントロール奪取とは非常に相性が良い。 相手の切り札モンスターを奪い、このカードで処理してやろう。 《メタル・リフレクト・スライム》を使えば全ての式神をカバーできる。 総じて、このカードをうまく利用できるかが【式神】の勝利の鍵となるだろう。 ただし、考えなしに使うと1枚のディスアドバンテージになってしまうのが欠点か。 2009/03/01にエラッタされ、現在の文章となる。 エラッタ前は特殊召喚できる式神のレベルが「生け贄に捧げたモンスターのレベル+1以下」だったため、強化されたといえよう。 レベル6の式神である《式神・十二天将》の存在でかなり使いやすくなった。 下級モンスターからこのカードを通して《式神・十二天将》を特殊召喚できる上、自身の効果でフィールドに呼びやすい《式神・十二天将》を使っての《式神・八雲藍》の特殊召喚が可能なのである。 原作・アニメにおいて―~ コメント募集中
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1358.html
前ページ次ページZero ed una bambola ゼロと人形 教室にはもうほとんどの生徒が集まっていた。そして生徒の数だけ使い魔がいる。 「うわぁ」 様々な生き物にアンジェリカは目を奪われ感嘆の声をあげる。 「アンジェここに座るわよって何であんたがこっちにくるのよ!」 「いいじゃな。どこに座ろうとあたしの勝手でしょ」 ルイズが席に着くと隣にキュルケがやってきた。 ちょうどその時、紫色のローブを身に包んだ女性が現れ、口を開いた。 「皆さん。春の使い魔召喚は大成功のようですわね。おや、ずいぶん可愛らしい使い魔ですね。ミス・ヴァリエール」 シュヴルーズがそういうと教室はどっと笑う生徒と可愛いと口に出す生徒に分かれた。 「ゼロのルイズ!召喚できないからって、可愛い女の子を誘拐してくるなよ!」 「誘拐!ふざけたこというんじゃないわよ!ミセス・シュヴルーズ!かぜっぴきがわたしを侮辱します!」 「かぜっぴきだと!俺は風邪なんか引いてない!風上の・・・」 「はいはい、みっともない口論はおやめなさい。いいですか、お友達をゼロだのかぜっぴきだの呼んではいけません」 シュヴルーズがそういって二人を諭そうとした。 「ミセス・シュヴルーズ、ルイズがゼロは事実です。事実を言って何が悪・・・」 マリコリヌは最後までしゃべることができない。彼の口に赤土の粘土が張り付いていた。 「あなたはその格好で授業を受けなさい。では授業を始めます」 ルイズが怒鳴りあっている間、キュルケはというとアンジェリカと戯れていた。 「アンジェちゃんかわいいわね~」 キュルケはそういってアンジェリカを膝の上に乗せる。 「あら、ちょっと見かけのわりに重いわね」 少し苦しげにぼやく。そのまま授業を受けていたキュルケだったが、ようやくルイズがそのことに気付いた。 「ちょっとキュルケあんた何してんのよ。早くアンジェをおろしなさいよ」 「ええー、かわいいからもう少しだけいいでしょう」 「アンジェ、いやよね?そいつの膝の上なんて」 ルイズがムキになってアンジェリカをキュルケから引き離そうとしているとシュヴルーズに注意されてしまった。 「ミス・ヴァリエール!私語を慎みなさい!そんなに授業が退屈ですか?」 「いえ、その」 「ならあなたにやってもらいましょう。さあこの石を望む金属に変えるのです」 「ルイズやめて!」 思わずキュルケが叫ぶ。だがルイズはそれを無視し、緊張した顔つきで前に進み出る。 「アンジェちゃん。隠れるわよ」 「キュルケちゃん、どうしたんですか?」 「どうしたもこうもないわよ、危ないから隠れるの」 キュルケはそういってアンジェリカを机の下に隠れさせる。 「フレイム。ちゃんとアンジェちゃんを守るのよ」 きゅるきゅる 他の生徒たちも同様に隠れる。しかしルイズは意に介さず、自身の魔法に集中する。そして杖を振り下ろす。 シュヴルーズは常識的な教師だ。ミス・ヴァリエールが魔法を使えないという話は聞いていたし、彼女が努力家だということも知っていた。 だがしかし、誰が魔法が失敗したら爆発するなんて考えるだろうか。いや普通はそんなことは考えない。だったら事前に教えて欲しかった。ミス・ヴァリエールは魔法に失敗したら爆発を起こす、と。 爆風に吹き飛ばされる中、シュヴルーズはそんなことを考えていた。 「ちょっと失敗したわね」 ―どこがちょっとだ― 皆の心が一つになった。 「ミス・ヴァリエール・・・」 「はい!何でしょうかミセス・シュヴルーズ」 「魔法が失敗したことは咎めませんが、しかし!この惨状はどういうことですか?」 シュヴルーズが指差す先、教室はめちゃくちゃだ。ルイズは目線でアンジェリカを探す。どうやら傷一つ負っていないようだ。 「大丈夫みたいね」 「どこが大丈夫みたいね、ですか!ミス・ヴァリエール!あなたには教室の片づけを命じます」 「わかりました」 ルイズはがっくりとうなだれた。 そして生徒達は使い魔と供に教室から出て行き、教室にはルイズとアンジェリカが取り残される。 「失望したでしょアンジェ?」 「はい?」 「わたし魔法が使えないのだからゼロのルイズなんて呼ばれているのよ」 「?」 アンジェリカはよくわからないといった表情でルイズを見詰める。 「はぁ。もういいわ。そういえばあんた魔法知らないのよね?」 「はい、よく知りません。でもあの爆発はすごかったですね」 アンジェリカを失望させずにすんだことに安堵したものの、失敗魔法の爆発に話が変わろうとしていた。慌てて話を摩り替える。 「そ、そういえば、朝のあれ。えーとオウグだっけ? それ何?」 「AUGですか?」 アンジェリカはヴィオラのケースからAUGを取り出し、構え、初弾を装填する。 「そうよそれ。何なの鉄砲?」 「えっとですね。これはステアーAUG、ブルパップ式の突撃銃です。全長は690mm、重量は3.3kg。5.56mmNATO弾をダブルカラムで30発装填出来ます」 「よ、よくわかんないけど、鉄砲なのよね。初めて見たわ。アンジェ、ちょっと貸してくれない?」 そういってアンジェリカからAUGを受け取る。 「何か話に聞いていたのと形が違うわね。どうやって撃つの?」 「ルイズさんストックを肩につけて、そうです。」 「こ、こうかしら」 「はい、それでトリガーを引けば撃てますよ」 ルイズアンジェリカにいわれるままに構え、銃口を窓に向ける。 「音と反動に気を付けてくださいね。」 そしてトリガーを力一杯引く。 数百羽の鳥が一斉に羽ばたくような規則的な騒音。肩に伝わる強い反動。そして床に散らばる30の薬莢。全てが予想外だった。思わずルイズは尻餅をつく。 「ルイズちゃんだから気を付けてっていったのに」 「あ、アンジェ、あんたこれ凄いわね。びっくりしたわ」 「はい、この前はこれで敵を三人やっつけてマルコーさんにも誉められました」 アンジェリカは笑顔でそう答える。 「やっつけたってアンジェ、どういう・・・」 「それよりもルイズさん、早く片付けましょう。お昼ご飯に間に合いませんよ」 「そ、そうね」 後で詳しく聞こう。ルイズはアンジェリカのことをよく知らない。だから彼女自身のことをもっと教えてもらおう、そう考えながら教室を片付ける。 Episodio 4 Il grande fucile dell'angelo 天使の大きな銃 前ページ次ページZero ed una bambola ゼロと人形